第7回藤さんの旅と食と人と~奄美大島―奇跡の自然島―~

奄美を知れば知るほど、奇跡の島だと思う。
気温、降水量、琉球・薩摩藩に属し、大戦後は米国占領下となった歴史。ハブの生息地。
これらすべての条件が合わさって、世界自然遺産・奄美ができあがっている。

奄美の原生林には、森林特有の湿っぽい匂いがしない。案内してくれたガイドさんによると、絶妙なバランスで、エコシステムが出来上がっているからだという。木々は水や養分を吸収するために地中に根を張る必要はなく、地表に露出していている根も多い。また、倒木から栄養を取って、苗木のように新たな命を育んでいる植物も見られる。
よく観察すると、背の高い常緑樹がこんもりと全体を覆い台風から森全体を守っている。一方で、木々の合間の日射しがはいるとことには、広葉樹が拡がり有効に光合成をおこなっている。森全体がまるで大家族で互いに助け合って生命を維持しているように感じた。

この特異な気候の中で、ここにしか生息しない天然記念物がたくさん生息する。ナイトサファリツアーでは、アマミノクロウサギ、アマミイワサキガエル、ルリカケスなどを見つける。ここにはクマヤキツネ、イノシシなどがいない為、天敵がいないそうだ。しかし、空を飛んで海を渡れるルリカケスがここ奄美群島にしか生息していないという事実は不思議で仕方がない。よほど快適なのだろう。

奄美のグルメと言えば、鶏飯。お茶碗に持ったご飯の上に細くちぎった鶏肉、錦糸玉子、椎茸等を乗せて、そこに熱い鶏スープをかけてお茶漬けのように頂く。出汁の味がやさしくほっこりした気持ちになる。
夜は奄美の黒糖焼酎とご当地料理に舌鼓を打ちながら、奄美民謡を楽しむ。残念ながらメインシンガーの女将は不在でピンチヒッターのお孫さんの登場だったが、それはそれで初々しくのびやかな若々しい歌声を楽しませてもらった。

翌日は、シュノーケリング。浜辺からそう遠くない場所にウミガメの餌場があって、のんびり餌を食む数匹のウミガメに遭遇。近づいてもあまり警戒する様子もなく丸い目玉が愛らしい。

初めての奄美大島は、沖縄と比べれば地味ながら、人々は優しく、疲れた旅人の心と体を癒してくれた。奇跡の島。今度は、喜界島や徳之島にも足を伸ばしてみたい。

執筆:藤さん
   ビジネスマンとして世界各国への出張を30年以上続けながら、趣味の旅行でもあちこちに出かける好奇心旺盛なアラ還男子。
   山本代表の長年の友人で、ぼちぼちと旅のコラムをおもびよのブログで書いています。