第6回 藤さんの旅と食と人と~オハイオ・ヒューストンの旅-人生はフラジャイルだ―~

アメリカのオハイオ州に住んでいる同僚のTobinが自宅に招いてくれた。
Tobinは陽気な男で、発する言葉の8割以上はジョークだ。彼はお客様に「注文を出さないと俺が行くぞ」と言うらしい。お客様は長いジョーク話に付き合わされるのが嫌だから
「わかった。注文出すから来ないでくれ」と答えるらしい。
これもジョークらしいが。

クリーブランドの閑静な住宅地にTobinの家はある。 Tobinは、その広大な庭で自ら焼いたステーキを振舞ってくれた。Tobinの2人の息子達、それから彼のガールフレンドとともに、私達は食卓を囲んだ。

赤身肉がうまい!日本の霜降り肉もよいけど、こちらの方がステーキを食べているという感じがする。それにしてもとにかくでかくて減らない。付け合わせのポテトも量が多くて結局、僕は最後まで食べきれなかった。
Tobinは、まだ子供たちが小さい頃、奥様を病気で失った。僕にもよく写真を見せてくれたが、ダイアナ妃のような聡明で優しそうな女性だった。そんな彼にガールフレンドができたことを嬉しく思いながら食事をしていた。

翌日は、テキサス・ヒューストンへ移動。

仕事を終えてから近くのNASA・ジョンソンスペースセンターを見学。「宇宙兄弟」という漫画にはまっていたことがあったが、まさにその風景が拡がる。あたりまえだけどロケットはでかい。そして今は使用されていない管制室に入り、かつて打ち上げ成功の歓喜の声が上がったと想起し歴史の感慨にふける。
毛利衛さん・山崎直子さんら日本人宇宙飛行士のパネルを見て誇らしい気持ちになる。

夜はメジャーリーグ。ヒューストンアストロズの本拠地であるMinute Madeスタジアムへ。ヤンキースとの開幕戦でイチロー出場の試合を観ることができた。ここでも頑張っている日本人がいる。世界は広いようで繋がっていることを認識。

ホテルへ向かう車の中で、Tobinが言った、
「Life is fragile(人生は壊れやすい)」。最愛の奥様を失った人の重い言葉だ。

世界を舞台に頑張っている人がいる。
人生は壊れやすい。だからこそ日々を精一杯生きる。
それしかないのだと強く思った。

執筆:藤さん
   ビジネスマンとして世界各国への出張を30年以上続けながら、趣味の旅行でもあちこちに出かける好奇心旺盛なアラ還男子。
   山本代表の長年の友人で、ぼちぼちと旅のコラムをおもびよのブログで書いています。